デザイナーアーカイブ[家具について]

Robin Day(ロビン・デイ)

Robin Day(ロビン・デイ)

1915-

1915年イギリス有数の家具産地ハイウィッコム生まれ。工業高等学校で家具製作を学び、ロイヤルカレッジオブアートを卒業。42年にテキスタイルデザイナーのルシアンと結婚。48年に妻と共同のデザイン事務所を設立。英国ミッドセンチュリースタイルを作った人物の一人です。彼の作品は他の人々同様、明らかにイームズの作品に刺激を受けています。イームズの作品は良くデザインされ、大量生産が可能で、良心的な価格というモダニストの哲学に忠実で、第二次世界大戦からの復興の最中の国民の生活水準の改善と楽観的雰囲気を強めました。「デザインに首都が無いのならば、せめてよいデザインが生まれ、喜ばれる環境はあるだろう」と言ったデイは妻ルシアンとコラボレーションをし、その作品は世界中に知られました。

48年に自身のオフィスを立ち上げたデイは、展示会デザイナーおよびグラフィックアーティストとしてスタートします。翌年にはアルミニウムのフレームに成型合板で作った組み立て式のストレージ「ローコスト・ストレージ・ユニット」の製作に取り掛かり、ニューヨーク近代美術館のローコスト家具コンペに出品。ストレージデザイン部門で大賞を受賞し、作品の形そして新しい素材の珍しい使用方法に理解を得ました。彼の評判が世界的に広まってきた頃、来るべき英国工業フェア用のダイニングルームセットのデザインを英国メーカーのヒル社(Hille) が依頼を受けることに。彼は1950年にその会社のデザインディレクターに就任し、以来キャリアを通じてデザイナー兼コンサルタントとして一緒に仕事をするようになります。ノール社やハーマン・ミラー社といったアメリカの企業姿勢を真似てヒル社の企業イメージのコンサルティングをしました。デイのイメージと人格は一般にも宣伝され、自邸も流行の住宅雑誌の広告や記事に特集されました。

直ちに普及した1950 年「ヒルスタック(Hillestak)」 の椅子は瞬く間にイギリススタイルのいたるところで見られるアイコンになりました。その椅子は座面と背面がそれぞれ1枚の曲げられた成型合板で出来ており、スチールのパイプでベースが作られています。1951年のミラノトリエンナーレのインテリア部門で彼がデザインしたキャビネット、椅子そして机が金賞を受賞します。ルシアンはその空間にマッチしたテキスタイルをデザインし、同じく金メダルを受賞しています。1950年後半、彼の椅子は流行の家具がプリントされたディナーウェアシリーズ「ホームメーカー(homemaker:エニッド・シーニーによるデザイン。英国リッジウェア社より発売)」にも取り上げらました。曲げ木からプラスチックへの一般的な道を歩み、1963年に「ポリプロップ(Polyprop)」 スタッキングチェアを製作し、1400万脚を販売する大ヒットとなり、その当時最も成功を収めた作品のひとつとして世界中に広がりました。マーク1(Mark?:1963)やマーク2(Mark?:1964)も続いてデザインし、発売されます。簡単な射出成形のポリプロピレンの座面は非常に早く、そして安く作れるので、ヒル社は自社技術を売り込むため同じ業界の人々に向けて600もの無料サンプルを送っています。

他にはノックダウン式の収納家具、パイ社(Pye)のラジオやテレビのデザイン、BOAC航空のインテリアやフォード社のデザインなどがあります。ロンドンのバービカン・アート・センターの椅子そしてロイヤル・フェスティバル・ホールの椅子やサイン、そしてゴミ箱等も彼がデザインしたものです。

また1974年から1980年までロンドン家具スクール(London School of Furniture)を主宰。英国の戦後の家具デザイン界に斬新なデザインと素材で新風を吹き込み、モダンデザインをイギリスの大衆に広めました。英国のイームズとも称される偉大なデザイナーです。

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